人のいない裏庭に来ると、二人して芝の上に座る。

芝特有の少しちくちくした柔らかい冷たさがスカートから出た腿と膝の裏に感じられた。



「お節介かとは思ったんすけど、やっぱ心配で…」


そう言って、申し訳なさそうに眉を下げながらも心配そうに私の顔色を伺ってくれる長谷部に、私は苦笑いしながら少し背筋を伸ばして本当にほんの少し空間をあけた。

「俊介、あの一緒にいた奴。
あいつ好きな子いるみたいでさっ…いつも一緒にいんのに、相談してくれたって良いのになって思ってさ。
ちょっとへこんでたの」


もう平気だよ。って言いながら笑う。
今日俊介に笑いかけた時より、随分楽に笑えた。

でも、長谷部は少し複雑そうに表情を曇らせた。


「…本当に、それだけなんすか?」

「え?うん。それだけだよ?」

…多分。


思わず私の胸の内に浮かんで来た不確定要素を含む呟きを聞き咎めるかのように、長谷部は身を乗り出して来る。


「先輩は知り合って一年そこそこの友達が相談してくれなかったくらいであんな風に泣くような人じゃなかったっすよ」

君が私の何を知ってるってんだね…

呆けた私に向けて長谷部は少し視線を逸らす。


「わかるんすよ。
だって俺…」


伏せられた睫毛は、多くはないけど彼の真意を何気なく隠す。
再び視線が合った時には、その眼はどこか熱っぽかった。