そうだよ…俊介が朱里を好きなら、応援してあげなくちゃ。
やだなぁ俊介も…そうなら、そうって、言ってくれれば良いのに…

朱里はかなり天然だから、私なんかに構ってないで、もっとガンガンアプローチしてかなきゃ気付かないよ。


私…なんかに…あんなこと……「いつでも良いよ」なんて、言ってちゃ…駄目……


「…っっ……」




……なんで…なんで私の恋を目茶苦茶にしてきた俊介が、普通に恋愛してんのよ…

おかしいじゃん。
こちとら高校入ってから、あいつに調子狂わされてばっかなのに、不公平だ…そうだよ、不公平だよ!


何それ、やだやだやだ!


「…もっ………やだぁ…っ」



嫌な感情ばっかりが、溢れ出して、苦しい。

こんなの、ただの当て付けじゃん。

俊介は悪くない。
朱里も悪くない。

きっと二人とも、私の大事な大事な友達なのに、何も相談されなかったのが淋しかっただけなんだ。
きっとそう。


だから、こんな風に嫌いになろうとしちゃ駄目。


朱里は、本当に俊介の事なんとも思ってないのかな。
俊介も、本当に私のことなんとも思ってなくて…



「諱花先輩…泣いてるの…?」

「!」


思わず顔を上げると、滲んだ視界に知ってる人影。


「いっちゃん…」


あ、私、こんな廊下の角で座り込んで何してんだ。

恥ずかし過ぎて長谷部の呼ぶ声に振り返る事もできずその場を走り去った。