下がる気温に反比例するように暖色を増す放課後。



偶然、先生に頼まれて手伝わされるはめになった会議のしおり作りを終えて、こった肩を回しながら廊下を歩く。



付近に俊介はいない。


なんでも先生に呼び付けられたんだとかなんとか。

彼も完全なる主役よりうるさい黒子になろう前に学生なのだ。



いつもより少し肌寒く沈んだ空気の中を教室に向かって歩く。

なんとなく交互に出てくる足元に目をやりながら歩くうち、聞き慣れた声が鼓膜を小さく揺らした。


角を曲がった辺りにいるのだろうその存在を予想して、自然と目線が上がる。

しかし歩を進めていた足は、もう一人の声を私が認識するよりも早く、敏感に動きを止めた。










いつも近くで聞く、弾むような人懐こさを含んだ少し低い声。






そして、日だまりみたいに穏やかでふわふわとした、鈴みたいな…可愛い声。














曲がり角の向こうで、俊介と朱里が二人きりで、話してる。