「美里、重い~。」
そして、それらを全て隆の持参した紙袋に入れる。
もちろん、荷物を持つのは隆の仕事。
「大根なんて、買うからでしょ?」
そこから除いているのは、二本の大根。
フリマでは、よく自宅農業を営んでいる家庭が、販売しているものだ。
「母ちゃんに頼まれたんだから仕方ないだろう?だいたいお前、この前もブーツ買ってなかったか?」
「だって、サイズがぴったりの靴なんて、中々見つからないよ。しかも、300円だっていうからさ。」
残り財産は500円。
「だからって……。」
「いい天気だねぇ。」
あからさまな、ごまかし。
「おまえなぁ。」
「さて、さて、松本おじさん。今日もいい品だしているかなぁ?」
隆の言葉を途中でさえぎり、私は必ずフリーマーケットでは最後に立ち寄るお店に向かう。


