ザワザワとする教室。

誰もが彼のそれに目を奪われていた。

「白鳥くん、どうしたのそれ?」

保健係りの田中さんが優斗の右の頬を指差し聞く。

「……うん、ちょっとね。部活中にふざけてたらボール当たっちゃってさ。」

いつも通りの笑顔に、誰しもが「何だ。」と納得した。

それがウソだと知る私と拓哉と、そしてテニス部の茂森くん以外は。



優斗の頬に当てられた白いガーゼ。

拓哉の右手の赤いアザ。

それを見るだけで私は怖くてしかたがなかった。

そして机に伏せる様にして俯いた私の肩を誰かが叩く。