私は1人、川の傍に待たされて不安になっていた。

見つめる先に、その背中は見えなくて、じわっと涙が目に溜まる。

「ひとりぼっち怖いよ。どこ行ったの?良斗くん。」

私は不安からしゃがみこんでしまう。

川のせせらぎさえも不安をかりたてて。

私は静かに泣き出した。



「織姫星ー!!」





待っていた声が聞こえて私は立ち上がる。

小川を挟んだ反対側に満面の笑顔をしながら立っている良斗。

「私の名前は彦星。今日はあなたに会いに来ました。」

「えっ?えっ――?」

「今からこの天の川を飛び越えてあなたに会いに行きます。」

良斗は助走をつけるために数歩さがった。

そして、意を決すると――

「ダメ!!危ないよ!!」

「大丈夫だよ――とう!!」

全力で走り、勢い良くジャンプ。

「危ない!!」

小川の端に着地したために柔らかな土が崩れ落ちる。

「うわぁっ!!」

バランスを崩し前のめりに倒れる良斗。

すぐに立ち上がると泥だらけになってしまった顔でニカッと笑顔を見せた。

「お待たせ。織姫星。」

「う……うわぁぁん。」

1人でいた恐怖から解放されて私は声を上げて泣きじゃくった。

良斗はあまり汚れていなかった方の袖で、私の涙をぬぐってくれた。