満天の星空の下。
ひとりぼっちで走る少年がいた。
「待ってよ、置いていかないでよ……良斗。琴音ちゃん!!」
短い草が優斗の足を取る。
「痛っ!!」
ドサッ。と音を立てながら優斗は前のめりに倒れるのだった。
「……ひっ。……ふぅう。……うわぁぁあん、お兄ちゃん何処ぉ!?置いていかないでよぉ。」
両腕で顔を覆いながら優斗は声をあげて泣きだす。
そよそよ吹く風が、木々を揺らし不快な音を立てる。
怖くなった優斗はしゃくりをあげながら、立ち上がる。
「ううっ、お兄ちゃん。琴音ちゃん。」
ゆっくりと歩きだす優斗。
しばらく林を歩いていくと川のせせらぎが聞こえてきた。
「……うわぁ綺麗。」
数メートル先で小川が流れていた。
空いっぱいに散りばめられた星々の光を反射させて小川が揺れる。
「天の川みたいだ……あっ。」
そして、優斗は視界の先に琴音がいることに気付いたのだった。



