「僕たちが会ったのは8年前の流星群の日だった。」

天を見上げながら優斗が話しだす。

私はそっと耳を傾けていた。

「うちの家族は天体観測が好きで、よく皆で星を見にキャンプ場に行ったりしてたんだ。母と父と僕と、そして良斗(りょうと)……兄と。」

お兄ちゃんと言った時の優斗の声が僅かに変化したことに私は気付いた。

それを悟られない様にか優斗は話し続ける。

「その流星群の日は少し肌寒くてキャンプ場には僕達家族ともう一組の家族しかいなかった。」

「……それが私達なんだね?」

心地よい風が吹き抜け、水面が揺れる。

「そう。うちの親って凄く人懐っこいから、琴音達とご飯食べて、一緒に星を見て、すぐに仲良くなった。」

人懐っこさは優斗も負けてないよね。

そう思ったら少し笑ってしまった。

「でも僕はその時は人見知りしちゃって、テントに閉じこもっていたんだ。」

「……優斗でも人見知りするんだね。」

「ひ、人見知りくらい僕だってするさ。」

ちょっとムッとした顔をして、優斗はくすりと笑った。

「良斗はずっと一緒にテントに居てくれたんだけど、その時知り合った女の子に一目惚れをしていたみたいでね。」

「…………。」


「良斗は琴音を連れてどこかへ行ってしまった。僕は1人になるのが嫌で、2人の後を追ったんだ。」

その時、キラリ一筋白い線が星空を横切った。

その一筋に続く様にして次々と星が流れていく。