池の真ん中の広場で私達は立ち止まった。

星明かりが池の水に反射する。

「……やっぱり優斗なんだね?」

ずっと忘れられなかった記憶。

そこで私に笑いかけた少年。

「……違うよ。」

「…………えっ?」

首を振った優斗。

私にはもう何がなんだか分からない。

「琴音は僕にとっての織姫だけど。琴音の探している彦星は僕じゃない。」

「どういうこと?」

優斗はゆっくりと空を見上げた。

星空が優斗の瞳に映って凄く綺麗だった。

だから私も天を見上げる。

遠い記憶の天を。