私の頭の中で鮮明に蘇る遠い昔の記憶。

「私の名前は彦星。今日はあなたに会いに来ました。」

「えっ……?」

ずっとずっと忘れられなかった思い出。

きっとそれは私の初恋だった。

「今からこの天の川を飛び越えてあなたに会いに行きます。」

全く同じ台詞。

偶然なはずがなかった。

「優斗が私を知っていたのって……そう言うことなの?」

そして、優斗は意を決すると思い切り駆け出した。

「優斗ダメ!!危ない!!」

「大丈夫だよ――とう!!」

全力で走り、優斗は勢い良くジャンプした。

昔より広い幅だったけど、優斗は危なげもなく飛び越えてきた。

私の瞳には涙がいっぱいに溜まっていた。

優斗は私の傍に歩み寄り、優しい笑顔で言う。

「お待たせ。織姫星。」

ぶわっ。と涙が溢れだして、私は優斗の胸の中でわんわん泣いた。