Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜


「夜には晴れるらしいけど、夕立があるかもしれないから傘持って行きなさい。」

ママの言葉を信じて正解だった。

午後になって雨が降り出したのだ。

止みそうもない強い雨足に私はどこか安心していたのかもしれない。

「このまま流れちゃえば良いのに。……って思ってる?」

「――へっ?」

突然亜季にそう言われて、私の心臓は驚くほど素直に反応していた。

「まだ決めてないの?どっちにするのか……」

亜季は本当に心配そうに私の顔を覗き込む。

私は笑ったつもりだったけど、笑顔は出来ていなかったみたいだ。

言葉を発する私を亜季はずっと心配そうに見つめていたから。

「ううん、決めたよ。決めた……」

私は亜季に言われた通り、今日の天体観測なんて流れちゃえば良いって思ってた。

そうすれば、このまま私は2人を大事に思えるのに。

「なら、そんな顔は止めなよ。」

「えっ。」