「言葉の通りさ。僕は昔からずっと琴音を好きでい続けているんだよ。」

「はぁ?なに言って……あいつはお前とは初めて会ったって言ってたぞ。」

拓哉の言葉に優斗が悲しそうな瞳をしながら笑う。

「……やっぱりね。琴音は僕のことなんか覚えちゃいないか。」

呟くように言った優斗。

淋しさの中にほんの少しだけ、やっぱりか、という諦めの様な感情が混じる。

「知ってるかい拓哉?明後日、西南の方角に午後10頃から流星群が見れるらしいんだ。」

優斗が指差した西南をちらって見る。

星なんておおい隠す灰色の雲がどこまでも続いていた。

「ねぇ、勝負しない?」

「は?勝負ってなんのだよ。」

「だからさ――――」

激しさを増した雨音が優斗の言葉を拓哉にだけ聞こえるように掻き消した。

にっこりと笑う優斗が教室へと戻っていき、拓哉はしばらくそこで立ち尽くしていた。