「……ん、うぅん。」

いつもなら目覚ましと共に起きるはずの拓哉。

今朝は目覚ましをBGMに布団に丸まっている。

「拓哉ー。目覚まし止めて起きてきなさい。」

母親の声にようやく起き上がった拓哉は、何だか不服そうに首をボリボリと掻いた。

「あぁ、寝覚め悪ぃ。」

ピッと止まった目覚まし。

拓哉の胸はモヤモヤと何かがつかえているみたいだ。

「ふぅ。」

ゆっくりと今日の用意をしだした拓哉。

乱暴に弾き出された教科書に挟まれ、詩帆のCDが教科書の山に埋もれていくのだった。