Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜


「次、3本ボレーいくぞ!!レギュラー以外は球拾いしてやってくれ。」

「おぉおっ!!」

軽快な打球音と、激励やアドバイスの声が響き渡る。

夏の日差しは強く。

私の仕事は皆が熱中症にならないように見守ること。

「拓哉甘い!!」

エンドラインに突き刺さったボレー。

「何なんだその球威は!?そんなんで県大会を勝ち抜けるとでも思っているのか!?」

皆が唖然とする。

だれもが素晴らしいプレーと思ったそれも、優斗からしてみたら納得のいくものではなかったらしい。

「……もういっちょ。」

拓哉がもういっちょ。そう言ってから何分たったんだろう。

息切れで明らかに動きが鈍っている拓哉。

でも球威もコントロールもどんどん精度が上がっていく。

怖いほどに集中していた。

「よし、今から5分休憩だ。」

バケツの中から取り出されたタオルを絞りもせずに首に巻き付ける拓哉。

すごい量の汗がタオルの水で流されていく。