地区予選会から二日後。
もう私はテニス部の公認マネージャーになっていた。
「お、重い……!!」
バケツ一杯の氷水を水道からコートまで運ぶのは容易じゃない。
だって私……女の子だもん☆
「……おばぁちゃん大丈夫?」
そう優しく声を掛けられて、今時の若い者も捨てたもんじゃないのぅ。
って――!!
「誰がおばぁちゃんだ、誰が!?」
「いや、ものすごいへっぴり腰でフラフラ歩いてるから、てっきり。ほら、バケツよこせよ。」
そう言って、私からバケツをとって拓哉が笑う。
「まだ白鳥来てねぇの?」
テニスコートにいたのは茂森くんと近藤くん。
あとの人はだいたい五分前くらいに来るからもう少し先。
「うん、珍しく一番乗りじゃなかったみたい。」
「ふーん…………。」
拓哉はいつになく真剣な顔をしていた。
「何か気になってるの?」
なんだか不安だったんだ。
拓哉って勘だけは良いから。
「……てかお前等付き合ってるだろ?」
「ふぇぇえっ!?な、な、ななんで知って――は!!」
拓哉は大声で笑った。
くそ、かまかけたな?拓哉のくせに。
「なーんだ、やっぱりか。最近怪しいと思ってたんだよ。」