「白鳥・鷲尾ペア、新田・斎藤ペア。第2コートで試合を始めてください。」

いよいよ優斗と拓哉のベスト8決めが始まる。

これに勝てば県大会への出場権が与えられ、あと一月ほど部活が出来る。

「うちは後お前達だけだ。皆の分も頑張って、県大会出場決めてこい!!」

カンペーの気迫のこもった檄を背中に受けて、2人がコートに入る。

「優斗、拓哉頑張って!!」


私の応援がほんのちょっとでも良いんだ。

2人の力になれば。

「ビビって縮こまらないでよね拓哉。」

「お前こそ下手なミスしたら承知しねぇぞ白鳥。」

変なコミュニケーションだけど、凄く良いペアだと思う。

「7ゲームマッチ、プレイボール!!」

審判の掛け声で試合が始まった。

優斗のサーブ。

ゆっくりと高く上げられたトス。

綺麗なフォームから打ち出されたフラットサーブが相手のバックに突き刺さる。

「……意外と速い!!」

体勢を崩された斎藤くん。

でもそこは流石の第四シードだ。

緩くなりはしたものの前衛の拓哉に触らせることなく、コート深くに返球した。

「はっ!!」

そのボールが弾み切る前に叩かれた優斗のストローク。

普通より一テンポ早く届くボールに、捕球態勢の出来ていなかった新田くんにミスをさせた。

「よし、まずは先制だ。」