5ペアあったうちの学校も、三回戦までに3ペアが負けてしまった。
優斗と拓哉のペアは順当に勝ち上がり、次はあの第四シードとの試合。
「良いぞシゲ!!落ち着いていけ。」
ほとんどのコートが4回戦に入った中で、まだ第6コートだけが三回戦を行っていた。
「古賀、サイドカバー!!」
茂森・古賀ペアが何と第一シードの竹内・三浦ペアに競り勝っていた。
ゲームカウント3‐2。
あと一ゲームで大金星になる。
相手のミスで、ゆるいボールが茂森くんの目の前で弾んだ。
「ポイント2‐1これを決めたらかなり楽になる。けど……」
優斗は何かを心配していた。
大事な場面。
茂森くんも理解していた。
これを決められるかどうかで勝敗が決まる大事なポイントだと言うことを。
「……力むなシゲ!!」
それを意識した瞬間。
茂森くんの右腕が強ばる。
「まずい、ミス――」
大事な場面でミスを犯すことを避けようとして、甘く入れにいったボールを第一シードが見逃すわけがなかった。
前衛の三浦くんの強烈なボレーがエースで決まる。
「ドンマイ。切り替えて次だ次!!」
部員達の必死の応援もむなしく、そのポイントがやはり勝敗を分けることになった。
ゲームカウント3‐4。
誰がどうみても善戦した。
しかし、そんな言葉は何の慰めにもならないのだ。
次々と最後の夏が終わっていく。



