一日の練習が終わり夕方。

「琴音。お待たせ。」

着替えた優斗が校門で待っていた私の元へやってきた。

「うん、帰ろっか。」

2人で並んで歩く。

変なの……友達から恋人に、ただ呼び方が変わっただけなのに凄くドキドキする。

これが付き合うってことなんだ。

「……ん?どうかした?」

私がじっと見つめていたから優斗が不思議そうにそう聞いてきた。

私は笑顔で言う。

「ううん、何でもないよ。」

「そう?」

「うん。」

すたすたと歩く拓哉とは違う。

完全に私の歩幅に合わせてくれる優斗。

優斗が自然としている動き一つ一つから優しさが沢山伝わってきた。

「まだ全然明るいね。」

七時前なのにまだカラスが飛んでる。

赤い太陽がゆっくりゆっくり沈んでいく。

「もう……夏が終わるな……」

「えっ?」

優斗が何を呟いたのか私には聞き取ることができなかった。

「何でもないよ。」

「そうなの?」

「うん、何でもない。」

私の家に着いて、優斗が手を振って帰っていく。

ほとんど沈んでしまった太陽が、優斗を照らしていた。