いきなり笑われて拓哉も困惑していた。

「おい白鳥?何なんだよ、いきなり。」

「ははは。ごめんごめん。あの拓哉がこんなにも真剣に頼んでくるなんて思ってもなかったから。」

優斗はまだ笑っていた。

「あのって何だ、あのって。」

「えー?いつも何かしらと距離を置いて斜に構えてる様なやつにさ、いきなり真正面から向き合われたら、ね?」

優斗は堪えようとしているんだろうけど、笑いを堪えられていない。

「はぁー。意地悪言ってごめんね。別に拓哉に頼まれなくたって僕は始めから拓哉としか組むつもりないんだよ。」

「……へ?」

「カンペー?間先生にもそのことは伝えてあるしね。」

驚いた様な安心した様な変な気持ちになって拓哉は笑った。

「じゃあ明日からの練習には必ず来てもらうからね。」

「……ああ。」

受話器を置こうとした優斗の手が止まる。

「……ねぇ拓哉。もしも僕が居なくなったら琴音のこと幸せにしてあげてくれるかい?」

「白鳥……お前なに言って…………」