放課後、私は靴箱である人を待っていた。
右手には最後のミサンガ。
「おっ、来た来た。拓哉。」
相変わらずダルそうで、いつも以上に不機嫌そうな拓哉。
「……おう。」
小さい声で拓哉はそっぽを向きながら言った。
私は胸の中で自分に「頑張れ」って言った。
「ね、久々に一緒に帰ろうよ。」
拓哉が私を見る。
なんか凄い悲しい目で。
断られなかったから私は一緒に帰ることにした。
さっさと靴を履いて行ってしまう拓哉になんとか追い付いて横に並んだ。
「今日で一学期終わりだね。」
「……ああ。」
一言で沈黙して、また一言話す。
「明日、通知表返って来ちゃうよヤバイね。」
「……おう。」
そんな感じで歩いていく。
水色の空に大きな鳥が飛んでいた。
私は歩きながらそれを目で追った。
飛んでいく……必死に、必死に。
「なぁ。」
拓哉が急に立ち止まる。



