ユニホームに着替え準備体操をする。
「……やっ琴音。どうしたの?」
優斗は変わらない笑顔で迎えてくれた。
「いよいよだね。」
私の言葉に優斗が体操を止める。
そして私に向き直って言うのだ。
「皆も僕も絶対に悔いの残らない結果を出すよ。」
「……うん。最初っから信じてる。」
私は優斗のリストバンドをしていない右手を取り、緑と白の糸で作ったミサンガを着ける。
優斗は自分の手を顔の前に持っていきミサンガを眺めた。
「うん、綺麗だね。」
たった一言そう言って優斗は練習に向かっていった。
私はしばらくコートの端からテニス部の練習を眺めてから帰った。
再び校庭を横切ると亜季が全力でトラックを駆けていた。
私と目が合っても反応しないくらい集中していた。
それが凄く格好よくて、少し悲しく思ってしまった。



