私は真っ先に亜季の元に駆け寄った。

「はい亜季。これ着けて頑張って。」

赤とオレンジ色の糸を使ったミサンガを手渡す。

「予選会も本選も全部応援に行くから。」

亜季は吹き出す様に笑った。

「ありがと。それじゃあ予選落ちなんてするわけにいかないね。」

豪快な笑顔で笑い飛ばす。
私は亜季に耳打ちをする。
「佐野くんのことも頑張ってね。」

亜季はビックリした表情で耳を真っ赤にしていた。

こういうとこ可愛い。

「ちょ、琴音。何言って……!!」

「ははは。それじゃ私まだミサンガ渡す人いるから。」

そういって真っ赤になった亜季と別れる。

私は校庭を抜けてテニスコートへと向かう。


そこに目的の人物がいた。