「……さて、夏休みまであと3日になったな。」

火曜の5時間目はカンペーの社会の授業がある。

終鈴を少し前にして授業を切り上げたカンペー、普段は見せない真剣な表情をして話し始めた。

「オレにとっては十回目くらいの夏休みだどれとも大して変わらんだろう。けどお前等3年にとっては中学最後の夏休みだ。」

その真剣にみんな珍しく話を聞いていた。

カンペーはゆっくりと全体を見渡していく。

「部活動で大会を控えた者は悔いだけは残さない様にあと数日頑張れ。恋愛に力を入れるのも良いだろう、好きなやつを一生懸命に大事にしてやれ。」

それに当てはまった人達が心に刻む中、私の心は真っさらのまま。

今になって分かった。


私には一生懸命になれるものが無いんだ……


「そんで、何にもないやつ。」

はっ!!とした。

感覚だけでなく本当に声が出ていたかもしれない。

カンペーが私に微笑んだように見えた。

「そういうやつは、どうだろう。頑張ってるヤツを目一杯応援してやってはくれないか?ただ思うだけじゃなかなか伝わらん。きちんと足を運んで言葉で、態度で示してやってくれ。」

『キーンコーンカーンコーン……』

カンペーが言い切って調度チャイムが鳴った。

私はカバンの中から昨日の放課後に作ったミサンガを取り出した。