今度さ、と、私の耳に口を寄せる。
「私にも、見せてよ」
ば、ばか~!!
何言ってんだ、この女は!
私の頭が爆発しそうになったとき、里佳子は、すっと立ち上がった。
「ま、退院のめどが付きそうで良かったよ。
お大事に!」
「あ、ありがとう。里佳子。
あのさ・・・、受付。大丈夫?」
私は、聞きたくても、聞けなかった言葉を、
この瞬間になって、ようやく吐き出した。
「大丈夫よ!任せなさい。
あ、でも、夏夜が戻ってきてくれないと、もちろん困るけどね」
里佳子は、親指を立てて、私に白い歯を見せた。
審美歯科に通って、きれいにしている、彼女の白が、
やけにまぶしい。

