亮雅は部屋着に着替えることもなく、すたすたと風呂場に歩いていく。
少しして、“自動でお風呂を沸かします”という機械音が聞こえた。
ちゃんとお風呂を洗ってくれたかな、と思いながらストッキングを脱ぎ終わって顔を上げると。
「きゃっ!何してんのよ!」
てっきり風呂場にいると思っていた亮雅が、部屋の戸口にもたれかかっていて。
野鳥の観察でもするみたいに、じっと私を見ている。
「何って。別に。夏夜が着替えてるのを見てるんだけど」
「見なくていい。見なくていいから!」
私は大げさなくらいに声を張り上げた。さっきまでのほんわかムードはどこへやら。
一気に体温が上昇して、心臓が暴れ始める。
・・いまさらじたばたしても仕方ないけど。
一緒に住んだは良かったが、卒業式からすぐ新居を探し、不動産屋と契約、引越し、新しい職場など、
雑多な日常にもみくしゃにされっぱなしで、
実を言うと、こんな時間から二人で一緒に部屋にいるなんて今日が初めてなのだ。

