亮雅があごで空を指した。
その方向にあるのは。
「あっ!」
病棟の窓にはりつくようにして数人の人影が見える。
こっちは暗いからたいして見えはしないだろうが、それでも人がいるくらいは確認ができそうだ。
「俺が待たされてる姿をじっと見られるのが嫌だったから、木の陰に隠れたんだよ。
3西の連中はあきらめたからな。今見てるのは6東の連中だろう」
3西というのは、3階西病棟、つまり亮雅のいる外科病棟のことで、
6東というのは、6階東病棟、つまり私の勤務する循環器内科病棟のことだ。
どうやら私がここに到着するのを見計らって、見学者が列を成しているらしい。
あの中には多分ヘルプできていた外来の看護師さんも混ざっているに違いない。
・・あぁ~。とうとう外来にまで噂が広がるのか。とほほ。
「ほら、さっさと帰るぞ」
「あ、うん」
亮雅に背を押され駐車場へと並んで歩いた。

