ファストフードは何時間いても特に注意されることもなかったが、
さすがに話の尽きた夕方、私は里佳子と別れてアパートに戻った。
家についてすぐ、念入りに手を洗いうがいをしたうえでさらにアルコールで両手を消毒する。
受験を控えた身としては、今病気に罹るわけにはいかない。
すでに医療従事者でなくなり、インフルエンザの予防接種を優先的に受ける権利もない私は、
いまだにワクチンを打っていない。
アルバイトで医療補助をしているのにな、とため息が出ることも歩けど、
病院がリストアップそた医療従事者リストには私の名前は載らなかった。
去年まではこちらがなんのアクションをおこさなくても、病院で流れ作業のように注射を打っていた事を思い出す。
なんだかんだいいつつ、恵まれていたこともあったんだ、としみじみ思う。
夕飯を作り始める前に、私は参考書の積み重なったこたつに座った。
国語の問題集とにらめっこするためだ。
学生の頃はあれだけ嫌いだった勉強なのに、何時間も集中できることがおかしい。
人は強制されると嫌がって、いったん離れるとそれをやってみたくなるものらしい。
受験を決めたとき、すでに社会人入試の日程は終了しており、私が受けるのは一般入試だ。
里佳子と違い、生活費を稼がなければいけないため、
私が目指しているのは夜間に勉強できる准看護学校だ。
廃止の方向にむかいつつある准看護学校の中で、さらに夜間の3年課程で学べる学校の数は、年々減少傾向にある。
どうしても今年受かっておきたかった。

