大橋とは里佳子を通じて、海東から話を聴いたあと、何度も会っていた。
あの事件のことに関して、大橋の口から彼女の真実を聴く事もできた。
申し訳なかったとあやまる彼女が言うには、もしもコールをしていても結果は変わらなかったのではないかという話だった。
看護師が気づいたときには、すでに意識がなかったというのがその根拠だ。
気づくのが遅かったといえばそれまでだけど、夜勤の体制がどんなものかをよく知っている私にとって、その追求は酷なことに思えた。
大橋によると、私の父が主張したように、カルテの一部、特に手術記録の一部が失われている気もするとのことだったが、それがどんなものなのかは記憶になかった。
和解、というとおかしな表現になるかもしれないが。
私は、すでに大橋や海東にたいして、何のわだかまりもない。
それは皮肉にも、私が姉の死の真相を暴こうと、医療従事者となったことと無関係ではあるまい。
多分同じ話を父が聴いても、納得はしないだろう。
けれど、外からは見えなかったさまざまな問題点を内から目にした私にとって、
姉の死が単純に医療事故だったと決め付けることは、到底できなかった。
娘の友達として私が彼女たちの家を訪れる事を、大橋は邪険にすることはない。
両親が知れば非常識だと怒るかもしれないが、私は違和感なく彼女の家に遊びに行くようになっていた。
私は私なりの満足感とともに、日々を生活している。
ただ一つ。
亮雅のことだけを除いて。

