この年になって新しい事を始めるのは勇気がいる。
若い頃のように、傷跡は簡単にかさぶたになってくれなくて、じくじくといつまでも痛みを覚える。
それでもなんとか前に進まなきゃ、どうしようもない。
私たちは生きているのだから。
ハンバーガーを食べ終わった里佳子が、包み紙をクシャリと丸める。
「そうだ、夏夜。お母さんが、今度夕飯食べに来いって。
試験が終わったらでいいから、一度泊まりにおいでよ。
お互い忙しくなるだろうし。夏夜は遊ぶ暇もなくなるでしょ?」
「ありがとう。まあ、夜学だから一応土日は休みだけど、仕事で疲れて寝て過ごしそうだもんね。
お言葉に甘えてお邪魔するよ」
ココアを飲み干した全身から、汗が流れ落ちた。
ハイネックのセーターが蒸し暑い。

