駅に着くと、あいにく雨が降り始めた。
仕事帰りらしい大勢の人々は、傘もささずに駆け出していく。
小雨だから、走って帰れば大丈夫だけど。
・・あの二人組みがいたら怖いし。やっぱり亮雅に電話しよう。
鞄を開いて携帯を探しているうちに、ふと何かがひっかかった。
『連中は二度とお前のところに現れない』亮雅は、確かそんな事を言っていた。
探し当てた電話のボタンを押すと、画面に亮雅の文字が輝いて映しだされる。
・・ということは、やっぱり永井君にあんなことをやらせてたのは、亮雅だったってことだよね。
だったらどうして、海東に会わせてくれたんだろう。
私を脅すのは、口封じのためだよね?
それなのにわざわざ真実を知る機会を与えるなんて変じゃない?
事故ではなかったってことを、わからせるためとか?
急に強い風が吹いて、屋根の下にいる私の体に雨が吹き込んだ。
汗でぬれたように、顔が湿り気を帯びる。
ピッ、という音が耳に届いて私は亮雅に繋がったのだと思った。
亮雅、と声を出すよりも早く、単調な機械音が私の鼓膜を威圧した。
『おかけになった電話番号は、現在使われておりません』

