嫉妬?と納得いかない風に、里佳子はいぶかしげな表情を向ける。
「姉はね、年が離れてたから、本当に大好きだったの。
喧嘩した記憶もなくて、いっつも可愛がってもらってた。
両親も多分、老いてから産まれた私をすごく大事にしてくれてたんだと思う。
けどね」
その先に続く言葉を口にするのに、一瞬ためらいを覚える。
けれど、それを吐き出してしまえば、私はすっかり別人になれる気もした。
「姉が死んでから両親はすっかり変わっちゃって。
何よりもまず、姉の無念を晴らすのが先決って。私のことなんて二の次で。
小学校の入学式にも来てくれなかったんだよ。
ちょうど、病院との話し合いが物別れに終わって、正式に訴えるって決まった頃でさ」
「夏夜・・・」
心配そうに私の名をつぶやく里佳子に笑って見せると、一気にしゃべってしまった。
「なんかね、そこまでしなきゃいけないほどのことだったんだ、って自分に言い聞かせないとつぶれちゃいそうだったの。
私も春菜ちゃん--姉の無念を一緒になって晴らさなきゃ、放っておかれた幼い私が浮かばれないってさ。
馬鹿だよね。
私多分、冷たい人間なんだよ。本当は、死んでしまった人間のことなんてどうでもよかったんだ」

