机の上に置かれた海東の手がわずかに震え、粗末な机をかたかたと揺らした。
「急変した後は、どうなったんですか?」
ミスが起きていたとしても、そのあとそれを挽回するチャンスはなかったのだろうか。
私のあいまいな記憶では、姉が突然家からいなくなった日も、両親はそろっていた気がする。
そこで母から、『お姉ちゃんは病院でお泊まりするのよ』と聞かされたのだ。
会いに行きたいと言う私に、それは無理だとすげなく返事をされた。
多分、完全看護だったに違いない。
そして小児病棟に入院したために、私はお見舞いには連れて行けないということだったのだろう。
感染症を防ぐため、たとえ兄弟でも子どもを病棟に入れない規則になっているからだ。
「急変した時、私はその場にいなかったんだ」
苦悩の色を見せて、海東は眉間に皺を寄せた。
「なぜですか?」
「次の日が休みだったからだ。夜の9時に様子を見たときは元気そうで、私は大丈夫だろうと自宅に戻った。
その前々日から病院にいて、丸2日ほとんど寝ていなかったからシャワーを浴びて、着替えたかったんだ」
ふと、研修医の鈴木の事が頭をよぎった。
Q外で暴れた、精神の壊れてしまった真面目な男。

