そうだったのか、と私は心の中で一人得心した。
亮雅の持っていた週刊誌は多彩だったが、どうもK医師についての記述が一致せず、
人物像がぼやけていたのだ。
・・あれは、柿崎院長と海東先生の二人が混ざってたんだ。
執刀医で研修医だった海東と指導医で主治医であった柿崎。
どこかでごちゃごちゃになったまま書かれたか、もしくは別々の雑誌で二人の事を同じようにK医師と記述していたか。
「K医師か。そういえば、あの頃はいろんな雑誌にそんな風に書かれていたかな」
「あ、いえ」
海東も自分の事を書いた記事に目を留めていたのだろう。思い出したように言葉を落とす。
まさか亮雅の荷物を盗み見たとも言えず、私はあいまいに返事をした。
「あの、さきほど海東先生は柿崎先生が縫合不全だと言った、とおっしゃいましたが、
ご自身ではそう思ってらっしゃらないってことですか?」
ふうっ、と息を吐く音が聞こえ、海東は顔を上げて私を見た。
目元に刻まれた笑い皺は、こんなときでも彼の顔を穏やかに縁取る。
「いいわけめいて聞こえるだろうが、私は自分がミスを犯したとは思えないんだ」

