空気をさえぎるように、パキンと音がする。
亮雅が缶コーヒーを持ち上げて、口元へ持っていくと彼の喉仏がごくりと動いた。
「あ、私もいただきます。里佳子も飲もうよ。ね?」
なぜか私が仲裁役のような雰囲気だ。
プルトップにうまく指がひっかからずもたついていると、隣から亮雅の指がすっと伸びて簡単にそれを開けてくれた。
「あ、ありがとう」
コーヒーを飲みながら、ちらりと里佳子を横目で見る。
どうもおかしい。私と目を合わせようとしないなんて。
二口ほど飲んだが、いつもなら甘ったるいはずのその味が、少しも感じられなかった。
「春菜さんは、腹膜炎をおこしていたんだ」
勇気を振り絞ったように口にした海東の言葉に、私はコーヒーを吐き出しかける。
「で、でも!両親はそんな話は聞いていないって!
簡単な手術で成功したと言われたと」
「そう。説明しなかったんだ」
「そんな!どうしてですか?」
医療ミスではなかったのか。
だとしたら、両親の人生は、私の人生は一体なんだったんだろう。

