「手術の執刀は・・・どなたが?」
一番答えにくいであろう質問にも、海東は短く正確に返答した。
「私だ」
あぁ、やっぱり。胸に刺さった大きな棘が、一瞬で綺麗に抜かれたような気がする。
亮雅のよそよそしい態度も、きっとそのせいだ。
姉のことよりも亮雅の事を気にしている自分が、偽善者に思えたけど、
それはどうにも仕方のない私の正直な気持ちだ。
「ひょっとして初めてだったんですか?」
静かだった里佳子が、突然硬質な刃物のように冷たい声を出すので、私は逆に汗が吹き出てしまった。
「いや、アッペの手術は何回かこなしていた。
しかし」
そこで初めて、海東は言葉に詰まった。
「しかし?」
里佳子の声は明らかに非難の色を含んでいる。
彼女の横顔はマネキンのように無表情だ。
正座をしてピンと姿勢を正している里佳子は、まるでドラマで見る検事のようで。
「り、里佳子っ!」
私は里佳子の洋服の裾を軽くひっぱった。
なんか、海東を断罪してるみたい。

