「最初からお願いします。姉が運ばれたときから。
私、本当に何も知らないんです」
語られることによってもたらされる衝撃よりも、真実が明らかになる喜びのほうがはるかに大きい。
今、この瞬間になって、私は姉を死に追いやった誰かを糾弾したいわけではなく、
ただ彼女がどうして、どんなふうに死んでいったかを知りたいのだとわかった。
それは多分、両親の望みと同じ。
ひょっとしたら記憶に間違いがあるかもしれないが、と前置きしてから、
海東は自分の言葉を確認するように一言一言区切りながら話し始めた。
それによると、姉は最初、腹痛を理由に母が付き添って救急外来にかかったらしい。
・・えっ!救急車で運ばれたんじゃなかったんだ。
幼稚園児だった私に当時の記憶はほとんどない。
手術をするくらいだから、根拠もなく救急車でかつぎこまれたのだと思い込んでいた。
「救急外来の医師から、盲腸の疑いで外科にコンサルトが入ってね」
コンサルトというのは、専門の人間に相談することで、科を超えて診療が行われることを意味する。
海東の話によると、検査をした姉が盲腸らしいということで外科に連絡が入ったのだそうだ。
そこで、緊急開腹手術が行われることが決定した。

