%コード・イエロー%


そこは永井が言ったとおり20分ほど歩いた台地にあり、

どうみても住宅街といった雰囲気の場所だった。

看板が出ていなければ、そこが店であるなんてわからないくらい入り組んだ場所で、

こんなおしゃれな店を、よく彼が知っているな、なんて妙に感心した。


フランス料理のフルコースなんて、一体いくらするんだろう。

財布の中身を考えて躊躇する私の気持ちを推し量ってか、永井は私におごるから大丈夫だと言い出した。

そんなわけにはいかないと言う私を無視して、彼は送別会のかわりだからと勝手にコースを注文した。


「なんか、今日の永井君ってすごく強引だよね」


どちらかというと、みんなの意見の調整役で、積極的に自分から発言をしない彼にこんな一面がある事を私は初めて知った。


「そっかな。自分じゃいつもと同じだと思うけど。

多分さ、藤崎さんは僕が受付にいるところしか見たことないからそう思うんじゃない?

経営戦略を練ってるときは、かなり強引だよ。儲けるためなら手段は問わなかったりするし。

院長にも、俺はやり手だって言われたことあるんだよ」


「え?そうなの?そんな風に見えない」


「あはは。病院もさ、儲けなきゃつぶれちゃうからさ。

不要な検査したり、患者さんを個室入院させたり、結構強引な手段使ってるんだよ」