「もしもし?」
『夏夜!ちょっと、大丈夫なの?そんなに具合が悪いのに、どうして私に隠してるのよ?』
里佳子の声はかすれていて、涙声に聞こえた。
私がいないせいで仕事に支障をきたしているにしては、語る内容がおかしい。
「なんのこと?」
『なんのって・・・』
里佳子はためらってから、周囲の視線を気にしているのか少し声を落とした。
『なんか、体調が悪くて倒れたって聞いたよ。それで仕事の復帰は難しいって』
なるほど。突然首になる理由が医者との同棲では世間体が悪いから、
私が仕事を辞める原因が、さも私の不調にあるように取り繕っているわけか。
「あぁ、うん。平気。そっちは大丈夫なの?」
他人を思いやる余裕などなかったが、なんとなく口をついて出た。
『大丈夫。ヘルプが来てるから、心配しないで。
それよりも今日、お見舞いに行っていい?』
「あ、うん。あとで連絡ちょうだい」
『わかった。仕事終わったら連絡するから。じゃあね!』

