『おかけになった電話番号は、お客様の都合により・・・』
ラブホに行った日から、亮雅の様子がおかしいような気はしていた。
言葉ではうまく表現できないけれど、どこかさびしそうな遠くを見るような目で私を見つめることがあって。
それでも、わずかの希望を持ってかけた亮雅の携帯は、見事に着信拒否されていた。
人間の思考って、とてもおもしろい。
それとも私が特別なんだろうか。
こんな風に立て続けに不幸がふりかかると、何かとありえない理由をつけてでも、
それを素直に受け入れないように思考するのだ。防衛本能とでもいうのだろうか。
私が亮雅の番号をかけ間違ったんじゃないか。
誰かの携帯番号と勘違いして着信拒否しているのではないか、
いや、もしかしたら、みんなで自分を騙しているのかもしれない。
ヒョロもぐるで、部屋のどこかに隠しカメラが設置されていて、
ほら、どっきりカメラ、っていうんだっけ?みんなで嘘をついておどかすやつ。
それで、私がおろおろしている様子を皆で笑ってて、
ころあいを見計らって、騙しましたって笑って告げるんでしょう?
そんなはずがない、と、ちゃんと理性的なもう一人の私が声を張り上げる。
それでも。
もしかしたら、誰かがこの悪夢を覚ましてくれるのではないか。
そう思いながら携帯の画面を食い入るように見つめた。

