私は部屋を飛び出して、亮雅の部屋へと駆け込んだ。
扉を開いた瞬間、時が止まったように動けなくなった。
夢を見ているんじゃないだろうか。
それとも、今までのが全て夢だったのか。
何も、なかった。
ベッドも棚も、あふれかえっていた医学書たちも。
部屋を借りるために不動産屋の人間と訪れるときのように、そこは何もない広々とした空間で。
無駄だろうと思いつつ、クローゼットを開けてみた。
ぎっしりとつまっていた洋服も鞄も、そしてあのダンボールも。
全てが姿を消していた。
確かめるまでもなかった。
玄関には、彼の靴や傘や、車関係に使う工具箱が。
台所には、彼専用の食器が。
バスルームには彼の下着やシャンプーが。
多分、駐車場からは車が消えているのだろう。
私は全身から力が抜け、がらんとした亮雅の部屋にへなへなと座り込んだ。
一体、何があったというのだろう。
ご丁寧に掃除されたぴかぴかの床で、私は時間の感覚を忘れた。
ゴーゴーと激しさを増す風の音も、私の耳には届かなかった。

