部屋に帰ったら、あったかいホットチョコレートを飲もう。
コーヒーも紅茶も好きだけど、今の体は甘いものを欲している。
アルコールは、嫌な事を忘れるにはいいけれど、明日の事を考えることができなくなる。
体が寒さに震えだした頃、私はマンションの部屋の前に立った。
指が震えてうまく鍵がささってくれない。
なんとか両手でドアを開けると、重い体を引きずってそのままバスルームへ飛び込んだ。
一瞬、奇妙な感じがした。
他人の部屋に入り込んだような錯覚。
けれどそれが何かわからないまま、私は服を脱いで洗濯機に放り込んだ。
熱いお湯が冷たい体をほぐしていくと、ようやく心が落ち着き始める。
・・とにかく、何か食べよう。お腹がすいてると頭が回らない。
着替えがないので、バスタオルをまきつけたままリビングを通って部屋に行く。
手早く着替えると、台所へ入った。
冷蔵庫から牛乳とチョコの欠片を取り出す。これをレンジで暖めると何とも言えずうまい。
食器棚からカップを取り出そうとして、私の手がぴたりと止まった。
・・あれ?亮雅のコップがない?

