どこをどう歩いたのか記憶にない。
気がつけば駅の繁華街を一人で歩いていた。
何がおもしろいのだろう。皆が私を振り返る。
馬鹿だなって思ってる?
すでに時効が成立したような、事件とも呼べないものの真相を掴もうと必死な私がおかしい?
それとも、体だけの関係の相手に、心を求める間抜けな私が?
しとしとと降っていた雨が、傘を持たない私の心と体から次第に体温を奪っていく。
それでも、亮雅によく似た背中を見ると、思わず振り返る自分がいて滑稽だった。
本当に、馬鹿だ。
いつの間にか、こんなにも亮雅のことを好きになってたなんて。
ようやく気づいた、ううん、やっと認めることができた自分の心。
私のすぐ横を、一本の傘におさまった若い男女が通り過ぎていく。
皆、どうやってお互いの気持ちを確認できたんだろう。
どうやったら、そんな風に幸せに微笑むことができるの?
ぼんやりとたたずむ私の肩が、後ろからどん、と強く押されて、
私は小さな悲鳴を上げて、地面に両手をついて折れた枝のように倒れた。

