玄関の扉が閉まる音がして、亮雅が出て行ったのだとわかる。
私はため息を友にして、部屋のベッドに横になった。
シャワーを浴びなきゃ、と思いながらも、立ち上がる気になれない。
うつぶせになって枕に顔をつけたとき、鞄の中から携帯の振動音がした。
迷った末に、相手も確認せずに通話ボタンを押す。
と、ひどく狼狽した声が聞こえてきた。
『夏夜?夏夜なの?』
「里佳子?」
『もう!心配したんだからね。どこ行ってたのよ!』
「え?どこって」
確かに里佳子はずいぶん私を心配してくれたみたいだったけど、なんだかそれとは違う違和感がある。
『仲地先生から、まだ帰ってこないけど行き先を知らないかって、電話があったんだよ。
あんた、仲地先生にワンギリしたんでしょ?
何かあったんじゃないかって、心配したんだから!!』
はっとして、自分の行動を思い起こす。
そういえば、海東に呼び止められるまで、私は亮雅の携帯に電話していたんだ。
「ごめん、里佳子。また後で電話する!」
携帯を切ると、急いで亮雅に電話する。けれど、しばらくすると留守番電話に切り替わった。
私は携帯を片手にマンションを飛び出した。

