突然、耳を覆いたくなるほどの大きな音がした。
亮雅の蹴った椅子が、倒れるのが見えた。
それはまるで、映画のワンシーンのように、ゆっくりと。
そう、ゆっくりと。
「亮雅!」
無言で席を立つ亮雅は、私に一瞥さえくれない。
そのままバタンとドアが閉じられた。
私を拒否する音。
・・なんで?ちょっと出かけたからってそこまで怒ることないのに。
私も亮雅も、仕事柄帰宅時間は一定ではなく遅い。
夜勤もあるため、むしろ一緒に夕飯を食べるなんてことのほうが少ない。
当然、病院の売店ですませることも多いわけで。
束縛されるいわれはない。
私たちの関係を考えれば。
それとも、病院側から、24時間私を見張っていろとでも言われているのだろうか。

