「どこ行ってたんだ。どうして電話に出ない?」
「えっ!」
慌てて鞄のファスナーを開けると、携帯を取り出して中を確認する。
数分おきの着信履歴。
それが誰かからなんて、見る必要もなくて。
「ごめんなさい。バイブにしてたから気づかなくて」
「俺は、どこに行ってたのか、って訊いてんだ」
声を荒げないのが、余計に迫力を増している。
ずっと亮雅は意地の悪い人だと思ってたけど、こんなにも鋭い目で睨まれたことは初めてで、
私は蛇に睨まれた蛙のように、その場に立ち竦んだ。
『あれの母親と離婚して以来、あまり会ってなかったんだ。
私がこんな風に詮索しているのがばれたら困るから、藤崎さんと会ったことは秘密にしてほしい』
海東の懇願を、断るだけの理由もなくて、私はその場で頷くしかなかった。
「だから、ちょっと買い物に」
「どこへだ」
「駅ビルだよ」
「誰とだ」
「・・里佳子だけど」
ダンッ!!

