ついに涙目になって、亮雅は、はぁ~、と長いため息をついた。


「ほんっと、夏夜ってかわいいな。

悪い、ワンピのせいだけじゃなかったみたいだ」


私の胸が、どっくんと一つ大きく脈打った。

不整脈をおこしたみたいに、胸が苦しい。


最近の私は、亮雅の発言にいちいち反応が大きすぎる。

こういうの、よくない。

踏み込みすぎるのも、踏み込まれすぎるのも。


だめだ、って激しい警告が、何度も頭の中で鳴り響いているのに、

やっぱり人肌が・・恋しい。


再び亮雅の体温を感じたくて、私はソファの上でじっとしている。

それに気づかれたかはわからないけれど、私の望むように亮雅の唇が降ってきた。


今まで長い間、一人の夜でも平気だったのに。

どうして今頃耐えられなくなってきたんだろう。

私に若さがなくなってきたから?

それとも、疲れ果ててしまったから?


多分それは、どれもが正解で、どれもが不正解だ。

亮雅の腕にいる間は、何も考えなくてすむ。

それは、時に逃げであり、再び戦うための休息でもあるのだ。