患者さんが暴れるのは良くあることだけど、
そういう人って割と常連さんだったりして。
本当にブラックリストに載ってるような人、
例えば、病院で刑事事件を起こしちゃったような人
(先生を殴っちゃったり、刃物を持ち出す患者さん)を診察する場合、
最初から警備員さんを診察室に同行させるんだけど。
それ以外でも、何かしらトラブルのある患者さんっていうのは、
受付の人間の間では、顔を知られてることが多い。
けど。
・・今日は、そんな人いなかったと思うんだけどなぁ。
ドアの向こうは、カーテンで仕切られた小部屋の中に、
何台ものストレッチャー(動けない患者を搬送するためのベッド)が並んでいる。
その一番奥に、看護師さんたちが集まっているのが見えた。
こわごわ近づいて、私は、目を疑った。
見えているものが、理解できない。
幼い頃、姉が灰になったのを理解できなかったのと同じ、と言ったら言い過ぎかもしれないけど。
当直の医者と看護師が、羽交い絞めで取り押さえた人物。
それは。

