敗血症とは、細菌の感染が全身に及んで、さまざまな状態を引き起こすことをいい、
なにも治療しなければ、死に至るような恐ろしい状態だ。
けれど、敗血症になるには、それを引き起こす別の原因があるはずなのだ。
健康でぴんぴんしている人間が、いきなり敗血症になったりはしない。
「お姉さんの手術前の状態は?腹膜炎になってたのか?」
「そんなはずはないと、両親は言っています。
手術の前も、簡単に済むからと、たいした説明は受けていないと。
終わったあとも、成功したから1週間で退院できるって、間違いなくそう言われたと。
いい先生に当たってよかったと、母は喜んでましたから」
「なるほどな。だが、実際には敗血症になった。
ということは、遺残膿瘍(いざんのうよう)、か創感染(かんせんそう)か、
とにかく何かがあったはずだと?」
はい、と私は壁を見据えたまま頷いた。

