「それで、なぜお姉さんのカルテが必要なんだ。
確か、裁判に使用したと言ってたな」
いつもと変わらぬ淡々とした口調に、少しだけほっとして、先を続けることにした。
もう、引き返せない。
「姉は、手術後に亡くなったんです。
それで、両親が病院を訴えました。医療ミスだと言って」
「死亡の原因は?」
「わかりません」
「わからない?」
亮雅の怪訝な声。
背中に感じる体温が、じょじょに冷えていく。
「手術は成功して、1週間もすれば退院できると、両親は説明を受けたんです。
でも・・・」
次の言葉をつむぐのに、わずかな勇気が必要で、私は大きく息を吸った。
「姉は退院できると言われたその日、敗血症で亡くなりました」

