ベッドで過ごした夜特有の気だるさに身を任せていたとき、
携帯の激しい振動が、ベッドサイドのテーブルをがたがたと揺らした。
「はい。仲地です。
はい、はい。・・わかりました。すぐ向かいます」
「急変、ですか?」
「廊下で吐血して倒れたらしい。
肝硬変の患者さんだから、どうしようもないが」
手早く身支度を整えると、亮雅は私の額に唇を落とした。
「あぁ、そうだ。
いいかげん、敬語はやめろ。
それと、冷蔵庫の中のもの、適当に食べていい」
振り向きざま投げられた何かを、私は慌てて両手でキャッチした。
ジャラ、と音がしたそれは。
「鍵、ですか?」
「何時に帰れるかわからないから、それ渡しとく。
合鍵作っとけ」
いったん出て行こうと距離をとったのに、なぜか亮雅は再びベッドに戻ってきた。
「敬語はやめろ。いいな?襲うぞ」
名残惜しそうに口付けてくる亮雅は、まるで本物の恋人のように見えて、
私はひどく切ない気分になった。

